研究課題
アクチビン作用を抑制する変異受容体を過剰発現するトランスジェニックマウスの腎糸球体数が増加していることを見出したので、その機序を明らかにするため、腎尿細管由来のMDCK細胞を用いてその管腔形成におけるアクチビンの意義を検討した。MDCK細胞はコラーゲンゲル中で培養し、肝細胞増殖因子(HGF)を添加すると尿細管を形成する事が知られている。その結果、(1)MDCK細胞はオートクリン因子としてアクチビンを産生していること、(2)フォリスタチン添加によりこのアクチビンの作用をブロックすると管腔形成が起きること、(3)アクチビン作用をブロックする変異受容体遺伝子導入によっても管腔形成が見られること、(4)これらの管腔は形態学的にHGFによるものと変わらないこと、(5)HGFの投与によりアクチビンの産生が抑制されること、などが明らかになった。この結果、HGFがオートクリン因子アクチビンの産生抑制を介して管腔形成作用を発現していることを示唆している。アクチビン及びそのアンタゴニストであるフォリスタチンは発生過程の腎尿細管及び間質に発現していることから、これら因子が尿細管の分枝を調整することにより腎糸球体数の調整を行っていることが推定される。
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