研究課題/領域番号 |
10877167
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
中村 彰治 山口大学, 医学部, 教授 (80112051)
|
研究分担者 |
富士岡 隆 山口大学, 医学部, 助手 (50304473)
渡邊 達生 山口大学, 医学部, 助教授 (60182929)
|
キーワード | 発達 / 母体-胎仔相関 / 胎仔脳 / 視床下部 / 神経栄養因子 |
研究概要 |
本研究の目的は、母体脳の活動が胎仔脳の発達・分化に重要な役割をはたしているかどうかを検討することである。そのために母体脳(視床下部)を電気刺激した時に胎仔脳での神経栄養因子の発現に影響を生じるかを検討する必要がある。今年度は、この実験を行う前にまずラット胎仔期での脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現の発達について検討した。その結果、胎生後期において、BDNFは胎仔脳で広範に明瞭に発現していることをBDNFの抗体を用いた免疫組織化学法で確認した。さらに、BDNFの発現は同じ脳部位であっても胎仔ごとにかなりのばらつきがあった。そのために、母体脳刺激によってBDNFの発現変化を検討するのはかなり困難であると考えた。そこで、母体脳刺激によって影響を受ける胎仔脳部位を特定できるかどうかを検討するために、c-fosの抗体を用いて母体脳刺激によって賦活される胎仔脳部位の同定を試みた。母体をネンブタール麻酔し、母体視床下部内側部を1mA,10発のパルストレインを2秒ごとにあたえて10分間刺激をした。その後、30分と2時間後に胎仔を取り出して後の実験に用いた。対照群は実験群と同様の手術を行い母体脳を刺激しなかった。その結果、c-fosの発現は、胎仔脳の視床下部室傍核、視索上核、中隔核において対照群と実験群の両方で観察された。両群で、c-fosの発現の強さに差があるかどうかの詳細は現在検討中である。C-fosの実験から、通常の手術等の動物に対する操作がストレスに関連した胎仔脳部位を賦活していることを示唆している。一方、別の実験において、BDNFの発現も母体に加えたストレスによって変化する可能性を示唆する結果を得ている。これからの実験は、以上のこれまで得られた結果を参考にして進めていきたい。
|