研究課題/領域番号 |
10877170
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大磯 ユタカ 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40203707)
|
研究分担者 |
野村 誠二 名古屋大学, 医学部, 助手 (20242860)
水谷 栄彦 名古屋大学, 医学部, 教授 (00159162)
|
キーワード | アクアポリン2 / leucine aminopeptidase / バゾプレシン / 水再吸収機構 / 集合尿細管 |
研究概要 |
体液の調節機構上重要な役割を持つバゾプレシンは、腎臓の遠位集合管細胞の血管側細胞膜に存在するバゾプレシンV2受容体に結合後、cAMP・プロテインキナーゼA系を賦活化することにより最終的に細胞質内に存在する水チャンネルであるアクアポリン2(AQP2)を尿管側細胞膜に挿入し水の再吸収作用を惹起する。バゾプレシンの刺激作用が低下するに従い細胞膜に挿入されたAQP2は漸次細胞質内に戻り次のバゾプレシン刺激時までの間スタンバイしている。われわれはAQP2の遺伝子発現に関する制御機構と細胞膜への挿入と解離機構の二点について研究を進めている。はじめにAQP2の発現調節機構についてはバゾプレシンの外因性投与および水制限による内因性バゾプレシン上昇がAQP2遺伝子発現におよぼす影響を検討した。その結果、血中バゾプレシン上昇後のAQP2遺伝子発現の時間的経過が明らかになり、また老齢者でみられるバゾプレシンに対する腎の経年的反応低下の一因が老齢化に伴うAQP2の遺伝子発現の低下に基づくことを示す成績を得た。一方、AQP2の細胞内移動と細胞膜への融合および解離に関しては細胞内小胞内でAQP-2と共存すると報告されているleucine aminopeptidase(LAP)の役割が重要と考えられるため、その構造と機能について研究を進めている。われわれの作業仮説は、胎盤由来のP-LAPとAQP-2関連LAPは同一か極めて類似性の高い酵素であることを前提としている。現在われわれが確立しているポリクローナル抗ヒトP-LAP抗体を今後の動物実験に応用する必要性があるため、ラット腎切片を用い免疫組織化学法でP-LAPの染色性を検討するとともに、ラット腎尿細管ホモジネートのLAP活性をこの抗体が中和する活性を持っているか等の検討を進めている。
|