研究概要 |
排泄低下型痛風の候補遺伝子アプローチ・連鎖解析・罹患同胞対解析 大家系の連鎖解析と罹患同胞対解析 排泄低下型痛風を示す三世代40名以上の痛風患者を擁する大家系を対象として、全ゲノム領域にわたり、358種類のマイクロサテライトマーカー(Linkage Mapping Set)について、ABI PRISM 877ロボットを用いてPCR増幅後、Genotyperソフトを用いて、ゲノムマーカー毎のDNAの多型を決定した。また、独自に開発した、遺伝形式の矛盾を検出するソフトLinkmanを用いて、遺伝的矛盾データーを修正後、Linkageソフトを用いて、疾患と連鎖しているマーカー遺伝子座位を解析中である。 全国の痛風専門医の協力で、排泄低下型痛風患者の家系の50罹患同胞対(250検体以上)の末梢白血球を収集中である。現在までに約50検体のDNAを収集済みである。末梢白血球からDNAを抽出し、連鎖解析と同様に358種類のマイクロサテライトマーカーを用いて多型データーをとり、Mapmaker/sibソフトを用いて罹患同胞対解析を行う。 産生過剰型通風の候補遺伝子アプローチ 1) PRPP合成酵素触媒サブユニット(PSR1,PSR2)と結合蛋白(PAP39とPAP41)のゲノム構造の決定 既に決定したPSR1,PRS2,PAP39,PAP41のcDNAを用いて、ヒトPRS1,PRS2,PAP41のゲノム構造を決定する。 2) 産生過剰型通風患者でのATase,PSR1,PRS2,PAP39,PAP41遺伝子変異のスクーリニングと変異の同定 産生過剰型痛風患者の末梢白血球(300検体以上)、健常者(100人)、および癌細胞株サンプルより抽出したゲノムDNAを用いて、ATaseの全エクソン(11個)およびプロモーター領域について蛍光標識PCR-SSCP法で、遺伝子変異のスクリーニングを終了した。移動度の変化を認めた検体について、DNAシークエンサにて塩基配列を決定した結果、7種類の単一ヌクレオチド多型(SNP)を見いだした。さらに、健常者と癌細胞株間で、多型の頻度に有意な差を認め、現在、人種差による多型差の検討を実施中である。 4) ヒトガレクチン9(ヒトUATと推定される)のトランスポーター活性の測定とゲノム構造の決定(山岡) COS細胞にラットUATcDNA遺伝子とアミノ酸配列で72%(塩基で79%)の一致性をもつヒトガレクチン9cDNA遺伝子を導入発現(GFPを同時に発現するコンストラクトを用いて同定)させ、尿酸トランスポーター活性をパッチクランプ法で測定する。ガレクチン9のcDNAの塩基配列をもとに、ヒトガレクチン9遺伝子のゲノム構造を決定する。
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