研究概要 |
本研究は、 (1)侵襲生体で需要増加が予想されるグルタミン、アルギニン、タウリンによる免疫担当細胞の機能増強の分子機構を解明し、 (2)侵襲時に有効な免疫賦活製剤Immunonutritionの開発を目的とする。本年度は、以下のような研究成績を得た。1) in vitroでのグルタミン添加が、ブドウ糖欠乏時に健康成人並びに侵襲生体である消化器外科手術患者の術後末梢血中の好中球の活性酸素産生能に対する効果をフローサイトメトリーで検討した。この結果、健康成人、及び術後患者でもグルタミン添加時に、術後の好中球の活性酸素産生能が有意に増強するこが判明した。2) 末梢血好中球のE.coli殺菌能に対するタウリンの効果をjn vitroで検討した。同時に好中球細胞死をフローサイトメトリーと光学顕微鏡で検討した。タウリン100,1000μMと好中球: E.coli=1:0,1:1,1:10の比率で、0, 4、12時間混合培養した。各培養時間後のPMNのE.coli殺菌能を検討した。この結果、PMN:E.coli=1:10、タウリン1000μMで培養4時間後に、PMN殺菌能が増強されていた。同時にPMNの細胞死をフローサイトメトリー、光学顕微鏡で測定した結果、細菌と混合培養した時の好中球の細胞死はネクローシス、好中球単独培養時はネクローシスであることが明らかになった。 3) 好中球活性酸素産土能と、貧食能に対するタウリンの効果をin vitroでフローサイトメトリーを用いて検討した。分離好中球をタウリン100,1000μMでin vitroで0,4,8時間培養して、活性酸素産生能と蛍光ビーズ貧食能をフローサイトメトリーで検討した。この結果、タウリンは1000μM、4時間培養時に好中球の活性酸素産生能を増強した。好中球貧食能に対する増強効果はなかった。
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