研究課題/領域番号 |
10877184
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
有井 滋樹 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50151171)
|
研究分担者 |
古谷 正晴 京都大学, 医学研究科, 助手 (50293858)
今村 正之 京都大学, 医学研究科, 教授 (00108995)
|
キーワード | VEGF / 消化器癌 / flt-1 / HVJ-リポソーム / 血管新生 |
研究概要 |
Vascular endothelial growth factor(VEGF)の腫瘍血管新生作用、臨床的意義さらに遺伝子治療への応用につき研究を行った。 1) VEGFによる腫瘍血管新生作用とその時間的、空間的、解析 種々の腫瘍細胞にVEGF遺伝子を導入し、VEGF高産生株を樹立した。これをヌ一ドマウス皮下に移植しVEGFに誘導される血管新生を観察した。その結果、腫瘍血管新生は腫瘍径1mm程度の早期にはまず腫瘍周囲組織に血管新生が出現すること、そして腫瘍径がもう少し大きくなった時点において腫瘍内部に著しい血管新生が出現することを明らかにした。 2)ヒト消化器癌におけるVEGPの意義 種々の消化器癌において検討した。肝細胞癌では、VEGPmRNA高発現例では血管造影上、hypervascularityを示すことを明らかにした。大腸癌ではVEGFmRNA高発現例では有意にリンパ節転移、肝転移が多いことを報告した。食道癌では免疫染色におけるVEGE染色陽性例か有意にリンパ節転移率が高いこと、またsm癌では微小血管密度とVEGF染色の間に有意な関連性が認められた。さら、にp53変異癌ではVEGFの発現が高いことを示した。膵癌においてもVEGFが微小血管密度と相関した。 3) 遺伝子治療法の開発 まず、VEGFの受容体であるflt-1の細胞外ドメインを癌細胞に遺伝子導入し、分泌型flt-1産生株を樹立し、その性状を解析したところ、本遺伝子導入株では著しく増殖能が低下し、腫瘍血管新生も抑制された。ついでHVJ-リボソームをベクターとしてflt-1細胞外ドメインによる遺伝子治療を行った。皮下腫瘍の近傍に反復注入することにより腫瘍縮小効果を得た。腹膜播種モデルにおいても有意に腹膜播種仰制をみた。以下の結果は分泌型flt-1によりVEGFの効果が競合的に阻害され、血管新生の抑制による抗腫瘍効果とによるものと考えられた。
|