昨年、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)及びイヌ糸状虫(Dirofilaria immitis)の虫体からRNAを抽出しmRNAを精製後、oligo-dT primer及びMMLV reverse transferaseを用いてcDNAを合成した。さらにこれをλEXcell phageのクローニングサイトに挿入してcDNAライブラリーを構築した。 このphageを大腸菌に感染させ、得られたコロニーにタンパク発現を誘導するIPTGをしみ込ませたニトロセルロースメンブレンをかぶせ、マンソン住血吸虫及びイヌ糸状虫の虫体をホモジネートした抗原を用いて取得した抗S.mansoni抗体及び抗D.immitis抗体との抗原抗体反応によりスクリーニングし、寄生虫由来タンパクをコードするcDNAを含むcloneを取得した。 このうちS.mansoniより得られたcDNAはそのシークエンスが免疫抑制遺伝子と推定されているRas遺伝子とホモロジーを有していた。しかしながら、いまだこの遺伝子の機能の全容は知られておらず、今後この遺伝子を用いて異種間における宿主側の免疫系を回避する機序を解明していく予定である。
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