研究概要 |
平成10年度は、既存の電動ヤスリ装置およびヤスリ部分(ガラス工芸用・KISO POEWER TOOL社製 Mini Router No/28500回転数20000rpm)に加え、新たに研削・研磨システムを購入し研究を行った。新システムは、NSK社のSURGERY SYSTEM SURGICIIと研削部分に松風社のカーバイドバー(HP:l、3、5、7、7F、7C,9、12F、13F、17)(HPSクラス:21、22F、28F、31、32、33、34、34P、35、36)、ジプスバー(RB4、RB8、KZ4、KZ8)を購入した。このシステムを使用し、僧帽弁置換術によって採取した狭窄変を有する僧帽弁を用いて研削(rasping)し、弁形成術への研削システムの導入に関して基礎的ならびに臨床的に検討した。まず前尖、後尖および交連部をカーバイドバーNo.17,No.12F,No.7を30000rpmでraspingし、交連部にはNo.21と34をやはり30000rPmで使用した。標本は前後で透光性を含めその表面形態および硬度をチェックした。さらにHE染色とEVG染色を行い、病理組織学的に検討しこの手技の妥当性を確認した。すなわち線維化によって厚みをもった弁をraspingすることで安全に可動性を得ることができることがわかった。また、このシステムは臨床の弁形成術にも数例使用し、良好な結果をおさめた。とくに僧帽弁狭窄と大動脈弁閉鎖不全を呈した連合弁膜症の症例に対し、僧帽弁と大動脈弁に同時に形成術を施行した。この症則は心機能の改善のみならず、ワーファリン服用という抗凝固療法からも回避することができた。今後もこの弁形成術を行うにあたっての適応、システムの至適セッティング、新しいデバイスの開発等を検討していきたいと考えている。
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