平成11年度は、研削用の器械として昨年同様にNSK社のSURGERY SYSTEM SURGIC IIを使用した。僧帽弁置換術によって採取した狭窄変を有する僧帽弁を研削(rasping)し、弁形成術への研削システムの導入に関して、基礎的ならびに臨床的に検討した。まず弁尖を30000〜35000rpmでraspingし、交連部にはNo21と34を同様の回転で使用した。標本は前後で透光性を含めてその表面形態および硬度をチェックした。昨年と異なった点は透光性にオリンパス製の血管内視鏡の光源を使用することで透光性を強化したこと、さらに実体顕微鏡を使用してより鮮明に表面形態を観察できたことである。その後、研削した切片はHE染色とEVG染色を行い、病理組織学的に検討しこの手技の妥当性を確認した。この結果、独自のmitral complex硬化に関する分類を作製した。すなわち、I).石灰化を認めず、肥厚硬化する部位がa.弁葉に限局しているもの、b.交連部に及ぶもの、c.支持組織に及ぶもの。II).表在性に石灰化を認め、肥厚硬化する部位がa.弁葉に限局しているもの、b.交連部に及ぶもの、c.支持組織に及ぶもの。III).弁葉の全層におよぶ貫通性の石灰化を認めるもの。 現在のところ、III以外をその適応と考えているがさらなる検討が必要であろう。今後もこの弁形成術を行うにあたっての適応、方法、効果判定、システムの至適セッティング、新しいデバイスの開発等を検討していきたいと考えている。
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