軟骨の再生はその発生と類似した過程を経る可能性がある。したがって、軟骨の発生と吸収を観察することは軟骨再生の誘導に示唆を与えると考えられる。マウス胎仔の大腿骨を胎齢13日から15日まで観察した。摘出した組織を4%パラフォルムアルデヒドにて終日固定し、パラフィンにて包埋を行った。大腿骨の矢状面にて厚さ4μの薄切切片を作製し、H.E.染色とサフラニンO染色を行った。H.E.染色とサフラニンO染色をみると、胎齢13日から大腿骨脛骨の骨幹部の異染性がみられ、胎齢14日では軟骨細胞の肥大化がみられ、胎齢15日では肥大軟骨細胞層に血管が侵入しており、骨形成がみられた。さらに、Matrix metalloproteinase-9(MMP-9)のin situ hybridizationをみると、軟骨吸収層にMMP-9陽性細胞が検出された。TRAP陽性細胞は骨髄腔内にみられた。これらの結果は軟骨吸収にMMP-9が関与していることを示している。CD44の免疫染色を行ったところ、軟骨吸収に関与する細胞はCD44陽性であった。CD44を用いた細胞走化が用いられている可能性がある。
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