研究概要 |
慢性関節リウマチ(RA)では炎症の場である滑膜組織が関節破壊の主座と考えられているが,我々は破壊される側である軟骨,骨側にも関節破壊を促す原因が生じていると推察している。平成11年度までの本研究で,滑膜とリウマチ性肉芽組織のみならず軟骨細胞,骨芽細胞,破骨細胞においてもgelatinases(matrix metalloproteiase-2,-9)を発現していることを確認した。興味を引くのはアルカリフォスファターゼ陽性の骨芽細胞から蛋白分解酵素が産生されていることである。特に、我々の研究で重視しているムチランス型関節炎(この関節炎では著明な骨破壊に比して,滑膜炎が軽度である)から採取された骨、軟骨組織では著明な分解酵素の産生がみられた。これはRAの関節破壊が滑膜炎のみではなく、MMP等の蛋白分解酵素により引き起こされる可能性を支持する結果と考えられた。 平成12年度の本研究では、RAの手術時に採取される骨、軟骨組織における蛋白分解酵素とその阻害酵素のmRNAの発現様式を、通常の関節破壊とムチランス型関節炎で比較する。さらに関節液や末梢血中の同酵素活性を測定し病理組織像と比較する。また骨、軟骨細胞における基質産生能と分解能のinbalanceについても検討する予定である。
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