研究課題/領域番号 |
10877240
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
真下 節 大阪大学, 医学部, 教授 (60157188)
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研究分担者 |
吉矢 生人 大阪大学, 医学部・付属病院, 教授 (80028505)
竹之下 真 大阪大学, 医学部, 講師 (00144486)
西村 信哉 大阪大学, 医学部・付属病院, 助手 (00263286)
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キーワード | 微小管 / 軸索輸送 / キネシン / 局所麻酔薬 / 滑り運動 / 蛍光標識 |
研究概要 |
本研究の目的は、速い軸索輸送を担う微小管運動蛋白質キネシンの運動能に及ぼす局所麻酔薬の抑制作用を蛋白質レベルで明らかにすることである。 1. In vitro motility assay:カバーガラス表面に吸着させたキネシン分子上に蛍光色素で標識した微小管を含む液を灌流し、落射型蛍光顕微鏡下に微小管の滑り運動を観察・記録した。その結果、局所麻酔薬非存在下で約7割の微小管が滑り運動をしている系に、リドカイン50mMあるいはテトラカイン5mM溶液を灌流すると全ての微小管の滑り運動が停止した。そして局所麻酔薬を洗い流すと約7割の微小管が滑り運動を再開した。局所麻酔薬の灌流前後で微小管の滑り運動速度には差がみられなかった。 2. 1分子イメージング:エバネッセント照明を応用した全反射型蛍光顕微鏡を用いて、蛍光標識したキネシン1分子を生きた状態で可視化し、キネシン1分子が微小管上を滑り運動する様子を観察した。その結果、テトラカイン5mM存在下では、個々のキネシン分子が微小管上を滑走する距離が抑制された。微小管上を滑走するキネシン分子はテトラカインの濃度に比例して減少した。また、微小管に対するキネシン分子の結合率については、局所麻酔薬の有無による差は認められなかった。 本研究の結果より、局所麻酔薬がキネシン分子の運動能を可逆的、直接的に阻害することが明らかとなった。これが局所麻酔薬による軸索輸送阻害作用の主因と考えられる。
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