精巣は種々の原因により萎縮し造精障害を招くが、最近では外因性内分泌撹乱物質の影響が取り沙汰されている。そこで我々はtestosteroneの抑制と精巣萎縮との関連について、ラット実験モデルで検討した。 8週齢のSD系雄ラットを用いた。DES群:Diethyl betil stilbestrol 500μg/body×28日を皮下に埋没し持続投与したestrogen投与群、L群:酢酸リュープロレリン0.2mg/100gを皮下投与したLH-RH投与群、C群:sham operationを加えたコントロール群の3群を28日後に精巣を摘除後、アポトーシス細胞をTUNEL法で、p53蛋白の発現を免疫染色およびWestern blot法で検討した。また、血清testosteroneと血清estradiolの濃度を測定した。 精巣平均重量はC群1.75g、L群1.33g、DES群0.68gで、各群間に有意差をもって精巣萎縮を認めた。アポトーシス細胞はL群、E群に強く発現し、p53蛋白もL群、E群に強く発現していた。 化学的去勢による精巣の萎縮には、p53を介したアポトーシスが関与しているものと思われた。また性成熟期においてもestrogenがtestosteroneを抑制するだけでなく、精巣に対して直接作用している可能性が示唆された。すなわち外因性内分泌撹乱物質は、成人男子の精腺機能を障害し、男子不妊症を引き起こす可能性があると思われた。
|