研究課題/領域番号 |
10877252
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
西岡 伯 近畿大学, 医学部, 講師 (50211454)
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研究分担者 |
永野 哲郎 近畿大学, 医学部, 助手 (90268433)
原 靖 近畿大学, 医学部, 助手 (70298909)
今西 正昭 近畿大学, 医学部, 助手 (00232611)
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キーワード | 腎移植 / 免疫寛容 / ECDI / 化学修飾 |
研究概要 |
Ethylcarbodiimide(ECDI)によって化学修飾したドナー脾細胞を移植前に経静脈的に投与することにより、Brown-NorwayからLewisへのラット腎移植の系において、ドナー特異的免疫寛容が誘導されることを、我々は既に報告している。本検討ではこの免疫寛容誘導の機序を解明する目的で、グラフトにおける浸潤細胞の性質を免疫組織学的及び分子生物学的に評価することを試みた。 方法は、ECDIで処理したドナー脾細胞を移植7日前に経静脈的に投与し腎移植を行い、移植後5日目にグラフトを摘出した。グラフトは組織標本とした上で免疫染色を行い、検討には抗ED-1抗体及び抗CD-4抗体を用いた。また対照は、無処置で腎移植を行い、術後5日目に摘出した腎標本とした。分子生物学的検討は、同様のサンプルから浸潤細胞を分離し、RT-PCR法を用いて増幅させ、各種サイトカインmRNAの出現をみた。 結果は、前処置を行った後腎移植をした群では、無処置群と比較し、明らかにグラフトに浸潤しているCD-4陽性細胞数は減少していた。また分子生物学的検討でも、グラフト内でのIL-2mRNAの表現は、前処置を行った群で抑制されていた。 In-vitroではECDI処理した脾細胞は、その細胞表面のMHC抗原に変化を受けることなく、primaryMLRにおけるアロ刺激能はブロックされる。従ってこのECDIが関与する免疫不応答性の誘導は、抗原提示細胞からのco-stimulating signalの伝達を障害するためであろうと考えている。しかしin-vivoにおいては、これまでグラフトの生着延長効果のみが証明されていたが、本検討によって免疫低応答性の誘導は、CD4陽性細胞の局所浸潤の抑制であることが明らかとなり、さらにIL-2mRNAの発現抑制からも確認された。
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