研究概要 |
研究実績. 1998,1,6から1998,12,22の間、手術不能の進行子宮頚癌(臨床進行期 IVa期:3例,IIIb期:6例)計9例の患者に対して術前高用量骨盤灌流化学療法を計17回施行した。本法施行時の手技による事故は認めなかった。また、本法施行後の腎機能不全等の後遺症、治療関連死はなかった。本法施行後の治療経過は子宮頚癌根治術を6名に、放射線治療を3名に施行した。 成果. 術前高用量骨盤灌流化学療法施行後のダウンステージ率は67%(6/9)で、現在9名全員が生存中で、8名は無病生存である。また膀胱浸潤を認めたIVa期の3例総てで本法施行後の病理組織学的検討において膀胱病変部の癌細胞の消失が認められた。IVa期におけるダウンステージが達成されたことにより従来子宮頚癌根治術の適応外であったIVa期において根治術が施行可能となったことは本法の有用性を評価するものと考える。 安全性評価. CDDP増量に関し、各症例ごとの副作用を評価しつつ200mg/m^2〜350mg/m^2まで段階的に試行を重ね、かって達成された事のない350mg/m^2も安全に行えること確認した。さらに、5例においてCDDP,Pep1eomycin,mitomycinのコンビネーション使用を検討し、効果と毒性の差違をCDDP単独使用と比較検討中である。また、腎機能検査異常の認められた症例では、通常のハイドレーションで2週間以内に復旧することが確認された。これまでの研究成果は′98,6.第98回近畿産科婦人科学会学術集会、′98,10.第36回日本癌治療学会学術集会にて発表した。 展望. 手術侵襲の軽減を計るため、局麻下での本法施行の可能性を検討し、さらには本法のデイサージェリー化の可能性を検討する。
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