研究概要 |
Cerebral palsyには妊娠中,または分娩中の胎児脳虚血や脳低酸素症に起因するものがある.最近,神経細胞死にはグルタミン酸の興奮毒性が関与することが知られている.一方,一酸化窒素(NO)は血管拡張作用以外に神経伝達のモデュレータやフリーラジカルとしての作用もあるために,脳虚血,低酸素症ではこの両面を考慮する必要がある.本研究では,胎仔脳虚脱モデルによりこれらの物質,および関連物質を測定してcerebral palsyの原因を解明することを目的とする. 初年度として妊娠ラットをウレタンで麻酔し,腋下動脈にカテーテルを挿入して血圧測定,動脈血ガス分析を行った.胎仔臍帯動静脈を遮断,再開通することにより胎仔仮死モデルを作製し,30分以内に再開通しないと胎仔心停止が起こることを確認した. 一方,脳微小透析液中のグルタミン酸,アスパラギン酸,アルギニン,シトルリンを電気化学検出器付き液体クロマトグラムで測定する方法を確立した.また,脳組織でNO合成酵素(NOS)の活性をBredtらの方法に基づき,総NOS活性とCa^<2+>・カルモジュリン依存性及び非依存性NOS活性について測定する方法を確立した. 次年度はこれらの手法をラットの胎仔仮死(脳低酸素)モデルに適応して,研究計画を完了する予定である.
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