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1999 年度 実績報告書

反復性中耳炎に対するインフルエンザ菌外膜蛋白粘膜ワクチンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 10877267
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

山中 昇  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (10136963)

研究分担者 斉藤 匡人  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80205658)
キーワード中耳炎 / インフルエンザ菌 / 外膜蛋白 / P6 / 経鼻免疫 / ワクチン
研究概要

1)中耳炎反復症例における起炎菌に対する特異的免疫能を検索し、反復感染機序の宿主側の要因を検討した。
方法:36例の反復性中耳炎患児および20例の健康対照児を検索対象とした。これらの患児および対照児から採取した血清中のインフルエンザ菌外膜蛋白P6に対する特異的IgG抗体および肺炎球菌莢膜多糖体(pneumococcal capsular polysaccharIde:PCP)に対する特異的IgG2抗体をELISA法により測定した。
成績:抗PCP-IgG2抗体は健康対照児では生後2歳まではゆっくりと上昇するが、2歳から3歳までの間では抗体価の上昇は認められず逆に徐々に低下した。3歳を越えると特異的抗体価が急速に上昇した。健康対照児では抗P6-IgG抗体価も同様に2歳から3歳の間で上昇が見られずやや低下する傾向が認められた。この2-3歳が中耳炎にもっとも罹患しやすい年齢層であり、健康児でも中耳炎の起炎菌に対する抗体価がこの年齢で上昇が不良であることが罹患しやすさの大きな原因ではないかと考えられた。
一方、反復性中耳炎患児では、48.1%において抗PCP-IgG2抗体が低値(平均値-2x標準偏差値以下)を示しており、さらに55%において抗P6-IgG抗体が低値を示していた。上述の成績は反復性中耳炎患児では中耳炎起炎菌に対する特異的免疫能が何らかの原因により障害されていることを示唆している。
2)P6蛋白の経鼻免疫および全身免疫によるP6特異的抗体の産生
鼻関連リンパ組織(NALT)を利用した経鼻免疫によるワクチン投与の有効性を実験動物(マウス)を用いて検索した。
方法:インフルエンザ菌の外膜蛋白P6を以下の方法で経鼻免疫し、特異的抗体産生、特に特異的分泌型IgA抗体の産生について比較検討した。A群:経鼻免疫を2週間,隔日(7回)で施行、B群:経鼻免疫を、初回免疫後2週間後に追加免疫それぞれのグループについて最終免疫後1,2,3,4週、2ヵ月後に鼻分泌液および血清中のP6特異的抗体(IgG,IgM,IgAおよび分泌型IgA)を酵素免疫測定法により定量した。
成績:血清中抗P6-IgG抗体は、A群では有意な上昇が認められ、最終免疫後より3週間高値を維持した。B群では有意ではあるがA群に比較すると軽度の抗P6-IgG抗体の上昇が認められた。鼻咽腔洗浄液中の抗P6-IgA抗体もA群で有意な上昇が認められ、最終免疫後3週間高値が維持された。しかしB群では抗P6-IgA抗体の上昇が認められたが2週間後には低下した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Hotomi M.et al: "Antibody responses to the outer membrane protein P6 of nontypeable Hoemophilus influenzal and pneumococcal capsular pollysaccharides in otitis-pro* children"Acta Otolaryngol (stockh). 119. 703-707 (1999)

  • [文献書誌] 山中 昇: "中耳炎の難治化の要因"小児科. 40(8). 1093-1099 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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