平成10年度においては、ヒト下甲介鼻粘膜にトランスポーターが存在するかどうかについてのスクリーニングを行った。多くの組織に存在することがすでに確認されているモノカルボン酸トランスポーターと、腎においてその存在が確認されそのアミノ酸配列およびDNAの塩基配列が決定されている多選択性有機アニオントランスポーターについての検討が行われた。手術時に採取された鼻粘膜一部を用い、ISOGENによってtotal RNAを抽出し、さらにOligotex-dT30(super)を用いてPoly(A)mRNAを生成した。そして、ClontecのAdvantage RT-for-PCR kitを用いてcDNAを合成し、templateとした。次いで、ヒト多選択性有機アニオントランスポーター(human OAT1)とモノカルボン酸トランスポーター(MCT1)のプライマーを用いて、PCRを行ないPCR産物を電気泳動した。今回の検討では、MCT1のバンドは得られたが、human OAT1のバンドはMTC1のバンド程明瞭には認められなかった。 今回の研究に使用された鼻粘膜組織はアレルギー性鼻炎の病的粘膜であり、明瞭なバンドが得られなかったのは、そのためである可能性もある。平成10年度においては、安定した検出しやすい実験条件が設定された。平成10年度においては次年度のRT-PCR法によるPCR産物の単利にむけての基礎固めが行なわれた。
|