子宮内膜癌による癌関連網膜症の患者血清が認識する網膜特異抗原遺伝子を免疫化学的スクリーニング法を用いて検索したところ、肥満と感覚器障害を惹起するtubbyマウスの原因遺伝子とカルボキシ末端が相同なtubby-like protein 1(TULP1)のcDNAクローンを単離した。PCR法を用いて種々の長さのcDNA断片を調整し、これらのDNA断片を大腸菌発現ベクターに挿入して組換えタンパクを作成した。組換えタンパクを用いて患者血清の認識部位を検索したところ、TULP1のアミノ末端53アミノ酸配列に存在することが明らかになった。この53アミノ酸配列を網羅するように4個の18アミノ酸からなるペプチドを合成して、抗体認識部位を検索したところ、患者血清はアミノ末端の18アミノ酸配列を含むペプチドのみを認識した。このペプチドをKLHに結合させウサギに免疫して、TULP1に特異的なポリクローナル抗体を作成している。今後はこの抗体を用いて免疫組織化学的検討を行い、TULP1の組織特異的発現および細胞内局在等を明らかにする。また、cDNAをプローブとしてgenomicクローニングを行い、TULP1遺伝子の構造を明らかにする予定である。
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