研究概要 |
我々は眼内血管新生疾患において循環血液中の血管内皮前駆細胞で血管新生に関与する可能性を検討するため、血管内皮前駆細胞が発現する細胞マーカーが新生血会組織中の血管内皮型胞に発現されているかを検討した。増殖性糖尿病網膜症、老人性黄斑変性症、近視性新生血管黄斑症、.特発性新生血管黄斑症、網臆色素線条を対象疾患とし、硝子体手術で摘出しこれら疾患の血管新生膜組織について、内皮細胞のマーカーであるCD34,CD31(ECAM-1);von Willbrand factor,Flk-1に対する客抗体で免疫染色を行った。Asaharaらは循環血液中のCD34陽性血液細胞分画が虚血性血管新年部位に特異的に集結し、insituに血管内皮岬胞に分化しうることを報告している(Science,V.275 p:964)。今回抗CD34抗体は多様な血管増殖膜において多くの陽性細胞を検出した。しかし抗CD31抗体と抗Flk-l抗体はこれと比較し検出された新生血管薮が減少した。このようを結果よりCD34陽性細胞の中にFlik-1やCD31を発現していない細胞群が存在することが示唆される。CD31は循環血中ののCD34発現煎駆細胞が肉皮細胞に分化する過程において発現してくることが報告されており(Science,v275p964)、このような細胞群には循環血より侵入した前駆細胞が含まれる可能性が示唆される。一方Flk-1は最新のHirashimaら(Blood v.93p.1253)の報告の上れば、胚性幹細胞から培養したin vitroの系ではCD34や他の内皮細胞マーカー(VECAM)が発現を開始した後に発現が低下するとされ、in vivoでもMillauerら(Cell,v.72 p.835)が報告したように発生過程でしだいに低下する。したがって今回検討した組織の中で、CD34陽性細胞群にFlk-1陽性と陰性の細発群がみられることは血管増殖膜内での内皮細胞の分化過程が存在の可能性を示唆する。以上より実際の眼内血管増殖疾患においても循環血液中の血管内皮前駆細胞の寄与が示唆され、CD34陽性血液細胞分画に抗血管新生遺伝子を導入したうえでin vivoに投与することにより、高い特異性target部位に集結させうると考えられ、今後の眼内血管新生の抑制に応用できるものと考えられる。
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