研究概要 |
現在使用されている人工真皮の欠点を補うべく薬物添加による効果を検討し、今後の培養人工真皮モデルへの応用のため基礎実験を行った。 1.真皮様組織形成の促進 (1).モルモット背部皮膚全層欠損創への人工真皮移植実験では、basic fibroblast growth factor (Bfgf)無添加群に対し、Bfgf添加群 (50,100μg) で線維芽細胞の増殖及び血管新生の促進が認められ、真皮様組識形成は促進された。またBfgfをゼラチン粒子に含浸させBfgfを除放させることにより、その効果は単回投与に比べてさらに有意に促進された。 (2).臨床病態モデルとして糖尿病マウス大転子部に褥瘡を作成し、デブリードマン後人工真皮移植を行った。 BFGF無添加群では感染が起こり、人工真皮の融解と創の拘縮がみられたのに対し、bFGF添加群では感染を抑え、良好な真皮様組識の形成と創の拘縮抑制がみられた。 2.感染への抵抗性 人工真皮にサルファジアジン銀 (Ag-SD) を添加し、抗菌性人工真皮を作製した。in vitroではAg-SD放出動態の観察、agar plate上でのPseudomonas aeruginosa (Ps.) 及びStaphylococcus aureus (St.) に対する抗菌効果とヒト線維芽細胞に対する細胞毒性を、in vivoではモルモット背部皮膚全層欠損創へPs.及びSt.を藩種した汚染創での抗菌効果を検討した。 Ag-SD (5、10%濃度) 添加により有効な細菌増殖抑制効果がみられた。
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