研究概要 |
1.我々はハムスター顎下腺終末部細胞のペルオキシダーゼ(PO)活性が導管部に比べ弱いことをすでに報告しているが,今回これら終末部細胞のPO活性が固定時の温度よりむしろ固定液の種類により影響を受けて活性産物の流出が起こる可能性について発表し(Scanning '99シカゴ),ミトコンドリアに存在するチトクロームオキシダーゼ活性とは異なる知見についても報告した(Scanning 21:161-162,1999). 2.さらに良好な固定状態を得るために,MW照射固定法の導入が有効であることを確認し(Aichi-Gakuin Dent.Sci.12:7-12,1999),その際のミトコンドリア膜の保存性についても共焦点レーザー顕微鏡で検索した(Aichi-Gakuin Dent.Sci.12:39-44,1999,Scanning 21:161-162,1999). 3.次に,ハムスター顎下腺終末部の分泌顆粒に存在するPO活性が,他の舌下腺,耳下腺とは明らかに異なることを我々はすでに発表しているが,今回導管系の介在部の細胞にも存在し,他の齧歯類とは異なる様相を呈することが示唆された(電子顕微鏡,34,supplement 1: 132,1999),またスンクスの唾液腺におけるPO活性局在の特異性についても報告した(Okajimas Folia Anat.Jpn.印刷中). 4.一方唾液腺のPOと共に口腔内で抗菌的に働く白血球であるが,その際のフリーラジカル生成について生成するH_2O_2をルミノール化学発光で証明し(第54回愛知学院大学,歯学会),さらに抗アレルギー剤として使われているTranilastによるヒト多形核白血球のフリーラジカル生成に対する抑制についても報告した(日本解剖学会第59回中部地方会 福井). 5.しかし口腔内で白血球から生成されるフリーラジカルは,一方では歯周組織に障害的に作用することが考えられる.そこで我々は歯周病の原因菌の一つとされているBacteroides forsythusの菌株による白血球の活性酸素生成誘導について発表,報告した(第15回国際解剖学会議 イタリア;電子顕微鏡,34,supplement 1:285,1999).
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