研究概要 |
平成10年度は、研究計画に従って歯胚に発現するmRNA量を反映した遺伝子ライブラリーをSerial Analysis of Gene Expression(SAGE;Science 270:484-,′95)に準じて作成した。当初の計画ではマウスの歯胚を実験材料としていたが、得られる遺伝子情報の有用性を考慮し、ヒト歯胚より遺伝子ライブラリーを作成した。ヒト歯胚として、矯正歯科臨床でarch length discrepancyの解消を目的として摘出された第三大臼歯を用いた。摘出された歯胚はcap stageの中期から後期にあたりエナメル器の咬頭部分が石灰化しはじめていた。このエナメル器より抽出したtotal RNAより逆転写反応でcDNAを合成した。PCRによりアメロゲニンの遺伝子発現を調べることで、cDNAのクオリティーをチェック後、SAGEのプロトコールに準じて遺伝子ライブラリーを作成した。SAGEにより作成されるライブラリーは10mer前後の異種オリゴマー約50分子からなるコンカテマー遺伝子クローンにより構成される。ライブラリー作成にあたり、まず既知遺伝子の部分配列のホモロジー検索をEntrez BLAST searchで行ったところ9〜10merではもとの既知遺伝子をヒットすることか出来なかった。そこで、我々は的確にもとの遺伝子クローンをヒットできる16merの異種オリゴマーからなるコンカテマー遺伝子クローンを作成した。平成11年度はこのクローンのシーケンシングとホモロジー検索を進める予定である。
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