研究概要 |
全身的に健常な正常有歯顎者(成人男性27名)を,任意側咀嚼群(9名),右側咀嚼唱群(7名),対照群(11名)の三群に分けた.任意側咀嚼群の被検者には30分間ガムを任意に咀嚼させ,右側咀嚼群の被検者には咀嚼側を右側に限定して30分間の咀嚼を行わせた.対照群の被検者には,30分間の安静を指示した.標識薬剤には,^<18>F-Fluorodeoxy-D-glucose(FDG)を56±8MBq(1.51±0.22mCi)用いた.PETは三次元データ収集型PET装置(島津製作所製HEADTOME V SET2400W)を三次元データ収集モードにて用いた. 各筋の局所糖代謝量と相関して局所脳糖代謝量が増加した領域を明らかにするため,脳画像解析用ソフトSPM96を用いて任意側咀嚼,右側咀嚼の際の各筋のそれぞれの平均PETカウントと全脳各ボクセルについて共分散分析を行い,さらにFisher-Z変換を行った.この際,多重比較無補正の危険率が0.1%以下(Z≧3.23)のものを相関を示した領域とし,連続補正後の危険率が5%以下のもの(Z≧4.43)を有意に相関した領域とした. その結果,任意側咀嚼時では各筋と脳の局所糖代謝量との間に相関は認められなかった.一方,右側咀嚼時には各筋と脳の特定の領域の局所糖代謝量との間に正の相関が認められた.右側咬筋,右側側頭筋,右側外側翼突筋,右側外舌筋,内舌筋と脳の特定の領域の活動との間には有意な相関(Z≧4.43)が観察され,また,左側咬筋,左側側頭筋,左側内側翼突筋,左側外側翼突筋,左側外舌筋,オトガイ舌骨筋では,脳の特定の領域の活動と相関を示す傾向(Z≧3.23)が観察された.右側内側翼突筋と相関を示す領域は認められなかった.
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