研究概要 |
今年度は,まずペーストタイプ陶材の開発を主眼として,研究を遂行した.結合剤として有カな材料もいくつか発見できたが,有機系の結合剤が主となるため,焼成時の臭いや煙,ファーネスへの悪影響が懸念された.単独での開発には限界があるため,現在複数の企業に共同開発を打診中である.すでに,10種類ほどの試作品を試験焼成したが,操作性に関しては十分に納得できるものが得られ特に,陶材の築盛に要する時間は従来の陶材の1/2から1/3程度であり,ペーストの有効性が確認できた.この反面,ペースト陶材はコンデンスができないため焼成時の収縮が従来の陶材より大きく,亀裂やオペーク面からの剥離が問題点として明らかとなった.色調に関しては,すでに従来の陶材と同等の結果を得ている. ペースト陶材の開発と平行して,新低溶陶材め焼付強さに関する研究も行った.ペースト陶材の最終目的は,新低溶陶材のペースト化にあることから,この陶材の焼付強さと色調に関する研究を行った.この陶材を使用するのに不可欠とされるボンディングエージェントが焼き付け強さと色調に及ぼす影響については,1999年3月13日にカナダのバンクーバーで行われる第77回IADR総会で発表する.(Title:Bond strength and shade of low fusing porcelain.Presentation #2983).この研究を通じて,焼付強さの試験法と色調の分析法が確立できたので,次年度は新開発のペースト陶材にこれらの試験法を応用し,実用化を目指す予定である.企業との共同開発が実現したならば,製品化,特許申請を早急に行う予定である.
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