研究概要 |
歯科鋳造用金属の変色と口腔内環境との関係を知る目的で,鶴見大学歯学部付属病院補綴科来院患者を対象に装着補綴物の変色の度合い,口腔内診査,唾液の性状ならびに細菌叢の調査を行った.対象金属は主に金銀パラジウム合金とし,一部Tiや-Cr合金による金属床義歯についても行った. 1. 調査内容(現在70名について検査終了) (1)口腔内診査,(2)補綴物の輝度値測定(LUMINANCE METER LS-110 MINOLTA),(3)唾液からSalivaSecretion Rate,Buffer Capacityの測定,Lactobacilli,Candida,Mutansの検出(Dentocult CA,SM等使用),(4)舌苔より硫化水素,メチルメルカプタンの測定(ガスクロマトグラフを使用). 2.結果 (1) 同一患者の口腔内でもCrなどの固定性補綴物に比較して,装着されている部分床義歯のクラスプや連結装置の変色の度合いが大きかった. (2) 明らかに変色と認められる補綴装置の輝度値は80以下であり,変色の有無はこれを規準として判定した. (3) 硫化水素H_2SおよびメチルメルカプタンCH_3SHの測定値は高い相関を示した. (4) t検定の結果CH_3SHにおいて,変色があるものとないもの(金銀パラジウム合金)との間に有意差が認められた. (5) Co-Cr合金による金属床義歯では全く変色が認められなかったが,Tiでは変色を有する症例があった.
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