研究概要 |
口腔扁平上皮癌(SCC)の頸部リンパ節転移、または腺様嚢胞癌(ACC)の肺転移機構に関与する遺伝子のクローニングする目的で、それぞれの原発巣、転移巣より抽出したmRNAを用いて、cDNA-mRNAサブトラクション法、ディファレンシャルディスプレイ法を用いて解析することとした。今年度は手術材料の採取と保存を行った。1998年当科を受診した放射線、科学療法等の治療を受けていない扁平上皮癌、及び腺様嚢胞癌症例で、臨床所見が典型的でなものを選択し、患者の承諾を得たのち、手術材料を採取し、液体窒素を用いて速やかに凍結し、-80゚Cで保存した。引き続いて、細胞mRNA及びDNAの抽出を、RNAZol(GTC,フェノールを主体とした混合液)を用いて行った。抽出後、RNA、DNAブロットハイブリダイゼーション法を用いて核酸の純度を確認した。これらの材料を用いて、1999年度には、cDNAの合成、ディフェレンシャルディスプレイ法による解析、原発巣、転移巣で発現されるmRNA集団の差として得られるcDNA断片のファージへの組み込み、クローニングを予定している。その後インサートDNA断片をプローブにしてRNAブロットハイブリダイゼイション解析を行い発現の差を検索し、発現の差が認められた断片についてはさらに多くの手術材料を検索し、その現象が一般的であるか否かを検索する一方で、発現が確認された組織由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし全長cDNAをクローニングする。
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