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2000 年度 実績報告書

新生児期の遺伝子診断の功罪-遺伝カウンセリングシステム構築のために-

研究課題

研究課題/領域番号 10877379
研究機関信州大学

研究代表者

福嶋 義光  信州大学, 医学部, 教授 (70273084)

研究分担者 玉井 真理子  信州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (80283274)
永井 敏郎  獨協医科大学, 越谷病院, 教授 (90296129)
久保田 健夫  国立精神神経センター, 神経研究所, 室長 (70293511)
キーワード遺伝子診断 / 遺伝カウンセリング / 早期診断 / 心理的影響 / 精神的ケア / プラダー・ウィリー症候群
研究概要

[研究の目的]近年我々は,迅速で少量の血液で診断が可能な,早期診断に有用と思われるPrader-Willi症候群(PWS)の遺伝子検査を考案した.一方,PWS患児に対し種々の治療法が試みられているものの,完全に予防できる手段は未だない.このような状況の中で,遺伝子検査により早期に診断をつけることが,患者・家族にとって本当にメリットがあるかを明らかにする目的で,早期遺伝子検査に対するPWS患児の親の考え方を調査した.
[対象と方法]PWS親の会の事務局を通して全会員(281名)にアンケート用紙を送付した.回答が得られた157名(回答率 56%)につき,記載内容を分析した.
[研究の結果]全患者のうち,94%が遺伝学的検査で診断されていた.そのうち98%が染色体(含FISH)検査であった.遺伝学的検査の結果は,90%が染色体欠失,6%が片親性ダイソミー,4%が不明であった.検査時期は2歳未満(早期群)が69%,2歳以降(非早期群)が31%であった.両群を比較したところ,1)告知に関しては,早期群の方に当初ショックが大きかったが,その後疾患に前向きに取り組めたとの回答が多かった.2)症状では「肥満」「行動異常」は早期群の方が有意に少なかった(それぞれ45%:95%,41%:84%),3)治療法では,早期群では運動療法を,非早期群では食餌療法を受けている例が多かった.両群を通じて早期検査の意義があるという回答が多い反面(95%:81%)、早期診断時には親の精神的ケアを求める意見も多かった.
[研究の結論]PWSの早期診断は,肥満のみならず行動異常を軽減できる可能性があり有用と考えられた.ただし診断後,親の精神的ケアを含めた適切なフォローアップが極めて重要と考えられた.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Nagai T: "Standard growth curve for Japanese patients with Prader-Willi syndrome."Am.J.Med.Genet.. 95. 130-134 (2000)

  • [文献書誌] Fukushima Y: "Pitfalls of chromosome analysis"Congenital Anomalies. 40. 131-132 (2000)

  • [文献書誌] 久保田健夫: "DNAメチレーションと新しい遺伝子研究"信州医誌. 46. 66-68 (1998)

  • [文献書誌] 福嶋義光: "遺伝子診療システムの構築に向けて"臨床医. 25. 1254-1257 (1999)

  • [文献書誌] 久保田健夫: "遺伝外来・遺伝カウンセリング-最新遺伝情報へのアクセス"小児科診療. 62. 1011-1015 (1999)

  • [文献書誌] 福嶋義光: "分子予防医学(松島綱治編)遺伝疾患の遺伝子診断"医学書院. 384 (1999)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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