遺伝子多型マーカーによる血管合併症の一次予防とその診断法の開発

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10877395
• 研究機関: 島根医科大学
• 研究代表者: 益田 順一 島根医科大学, 医学部, 教授 (70173747)
• 研究分担者: 小林 祥泰 島根医科大学, 医学部, 教授 (00118811) ; 並河 徹 島根医科大学, 医学部, 助教授 (50180534)
• キーワード: 遺伝子多型 / Lp(a) / ラクナ梗塞 / 無症侯性脳梗塞 / トロンビン受容体 / トロンボモジュリン / 冠動脈疾患

研究概要

島根難病研究所を脳ドックの目的で受診した症例について、無症候性脳梗塞の存在と血清中Lp(a)の測定と分子量フェノタイプの解析を行うとともに、DNAを抽出しアポ蛋自(a)<Apo(a)>遺伝子の上流部分にみられる遺伝子多型と血清Lp(a)濃度の相関、および、無症候性脳梗塞の発生との関連について検討を行った。Lp(a)濃度は低分子量フェノタイプをもつ症例において高くなる傾向があり、また、無症候性脳梗塞がみられる頻度も高くなる。その傾向は50-70歳の比較的若い年齢層において顕著となり、有意な差がみられた。大学病院に入院した有症候性の脳のラクナ梗塞の症例でも同様な解析を行い、比較検討を行ったところ、無症候性の場合と同様の傾向が認められた。現在、血中ホモシスチンの濃度と関連があるMethylenetetrahydorofolate reductase(MTHFR)遺伝子の多型とラクナ梗塞との相関の解析を行っている。さらに、トロンビン受容体とトロンボモジュリンの遺伝子についてもSSCP法を用いて遺伝子多型マーカーを検索し、トロンビン受容体遺伝子には5つのDimorphic markersとトロンボモジュリン遺伝子の4カ所の多型マーカーを見出した。これを用いて、冠動脈造影で50%以上の狭窄が認められた韓国人の症例について解析を行い、トロンボモジュリン遺伝子の5'上流に存在する-33G to A変異による遺伝子多型と冠動脈疾患の有無との間に相関があることを見いだした。さらに、脳梗塞の存在との関連について解析をすすめている。

研究成果

• [文献書誌] Park H-Y, Nabika T, Masuda J,外2名: "Genetic effects of the sequence polymorphisms in the 5′promotor region of the apolipoprotein(a) gene on the plasma lipoprotein(a) concentration." Clin.Exp.Pharmacol.Physiol.(in press).
• [文献書誌] Zhang W, Bai H-Z, Masuda J,外7名: "Association of smooth muscle cell phenotypic modulation with extracellular alterations during neointima formation in rabbit vein grafts." J.Vasc.Surg.(in press).
• [文献書誌] Matsumoto C, Nabika T, Mashimo T, Kato N, Yamori Y, Masuda J: "Construction of a rat genetic map using randomly amplified microsatellite polymorphism (RAMP) markers." Mamm.Genome.9. 531-535 (1998)
• [文献書誌] Masuda J, Ogata J, Yamaguchi T: "STROKE : Moyamoya Disease" Harcourt Brace & Company, 815-832 (1998)