空気に満たされている肺を超音波で映像化する方法を見出すための動物実験を行った。 1.新しいコントラスト造影剤であるLevovist(ガラクトース・パルミチン酸混合物)を点滴静脈注入した雑種犬2頭について、開胸実験を行った。肺胞周囲の毛細管に到達したLevovistによるだけでは肺内の超音波画像を得ることは出来なかった。 2.コントラスト造影剤(Levovist)注入と同時に、人工呼吸器の挿管チューブのサイドホールより水蒸気を送り、肺内の空気を高湿度として肺内の超音波画像を得ることを試みたところ、雑種犬の肺内1cm程度の深さまでの画像を得ることに成功した。 3.次いで、物理的方法による肺炎を引き起こした雑種成犬について、肺内構造の超音波画像の抽出を試みた。肺表面(臓側胸膜)より1〜2cm程度の深さまで超音波が到達し、映像化出来ることが確認出来た。 4.超音波造影剤を肺胞周囲毛細血管に注入し、呼気ガスの湿度を上昇させ、炎症を起こすなどの病的状態の存在下で肺の映像化の可能性の道が開けるものと考えられた。
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