• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

神経疾患の原因となる変異蛋白質の質量分析による検出と構造決定および新診断法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 10877398
研究機関大阪医科大学

研究代表者

岸川 匡彦  大阪医科大学, 医学部, 助手 (40268199)

研究分担者 清水 章  大阪医科大学, 医学部, 教授 (00028581)
中西 豊文  大阪医科大学, 医学部, 講師 (10247843)
キーワードトランスサイレチン / アミロイドポリニューロパチー / 質量分析 / 免疫沈降法 / 老年性全身性アミロイドーシス / アミロイド原性 / 亜硫酸塩 / 翻訳後修飾
研究概要

筋萎縮性側索硬化症、アミロイドポリニユーロパチー、アルツハイマー病、プリオン病などの神経変性疾患は、種々の蛋白が不溶化・凝集・沈着することによって引き起こされることがわかってきている。これらの蛋白質は一様にbeta sheet richな構造を持ち、共通のアミロイド化過程が示唆されている。申請者らは、アミロイドポリニューロパチー患者のトランスサイレチン(TTR)を、免疫沈降法と質量分析を利用し検出・診断してきた。新種2種を含む10種類の変異が簡便に検出できることを示した。この手法は、内外の複数の施設で追試され、多くの変異で確認されている。しかし、申請者らは免疫反応を利用する限り、偽陰性が存在しうることに注目し、2種類の液体クロマトグラフィーと質量分析を連結し分析するLC/LC/MS法を考案した。その結果、免役沈降法に問題がないことを確認した。
また、TTRにはその分子内にfreeのシステインが一つ存在している。これにさまざまな低分子チオール化合物が結合し複数のisoformが存在することを見出した。このうち、freeTTRより80Da高質量の成分は亜硫酸(SO^-_3)が結合しているものであることを同定した。モリブデン補因子欠損症候群患者血清中では、通常数%以下である亜硫酸化TTRが、85%以上を占めていた。この疾患では、亜硫酸塩酸化酵素の欠損が知られている。蛋白質の翻訳後修飾を検出することにより、疾患の診断が可能であることを示した。
遺伝的に変異したTTRのみならず、正常構造のTTRも老年性全身性アミロイドーシスを起こすことが知られている。申請者らは、free TTRと亜硫酸化TTRのアスロイド原性を比較し、free TTRにはアミロイド原性がなく、亜硫酸化TTRにアミロイド原性があることを発見した。亜硫酸塩は食品・大気汚染物質に含まれているため、更なる研究が必要である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Kishikawa,et al.: "A simple and reliable method of detecting variant transthyretins by multidimensional liquid chromatography coupled to electrospray ionization mass spectrometry." Amyloid : Int.J.Exp.Clin.Invest.6. in press (1999)

  • [文献書誌] M.Kishikawa,et al.: "A new nonamyloid transthyretin variant,G101S,detected by electrospray ionization/mass spectrometry." Hum.Mutat.,Mutation in Brief. 12. 363 (1998)

  • [文献書誌] T.Nakanishi,et al.: "Simple and defined method to detect the SOD-1 mutants from patients with familial amyotrophic lateral sclerosis by mass spectrometry." J.Neurosci.Methods. 81. 41-44 (1998)

  • [文献書誌] A.Miyazaki,et al.: "Compound heterozygosity for β^+ -thalassemia-31(A→G) and a variant with low oxygen affinity,Hb Sagami〔β139(H17)Asn→Thr〕." Hemoglobin. (in press). (1999)

  • [文献書誌] T.Nakanishi,et al.: "A new hemoglobin variant found during HbAlc measurement : Hb Hokusetsu〔β52(D3)Asp→Gly〕." Hemoglobin. 22(4). 355-371 (1998)

  • [文献書誌] M.Kishikawa,et al.: "Proceeding of VIII International Symposium on Amyloidosis" Parthenon Publishing (in press), (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi