研究課題/領域番号 |
10877402
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉本 照子 千葉大学, 看護学部, 助教授 (40294988)
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研究分担者 |
佐瀬 真粧美 千葉大学, 看護学部, 助手 (10225906)
齊藤 やよい 千葉大学, 看護学部, 助教授 (40242200)
鬼村 和子 九州大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (70185627)
田中 悟郎 長崎大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (00253691)
太田 保之 長崎大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50108304)
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キーワード | 痴呆性高齢者 / 回想 / 感情 / 環境 |
研究概要 |
本研究の目的は、痴呆性高齢者と介護者のコミュニケーションを促進するための環境調整に関する指針を得ることである。平成10年度は、痴呆性高齢者の感情と介護者の対応について2通りの方法で検討した。 1 痴呆性高齢者の手記分析 アルツハイマー病患者の手記2件(ダイアナ・フリール・マクゴーウィン:私が壊れる瞬間.DHC.1993,ラリー・ローズ:わたしの家はどこですか.1998)について、身体精神心理状態、家族および医療スタッフとの関係を分析した。ともに記憶障害・認知障害により日常生活の自立は困難であるが、共通して“感情に訴えるものは思い出せる"“人に自分の記憶障害・認知障害を知られたくない"“自分1人でできることを確認したい"“どのような状態になっても介護者が世話することを確認したい"“自分の自尊心を傷つけないようにはじめてのことのように話しかけながら記憶を確かめる夫のやり方に感謝する"という内容がみられた。介護者においては“可能な治療を受けて希望を取り戻す"“感情のはけ口をつくる"という対応がみられた。 2 痴呆性高齢者の行動観察および介護者にこ対する面接調査 ボランティアによる痴呆性高齢者に対するデイサービス(千葉市内)利用者のうち、女性5名(脳血管性3名、アルツハイマー型2名,77〜85歳)とその介護者(娘4名、嫁1名,53-57歳)を対象とした。2名の介護者は“食物の嗜好も表出なし。他の家族もおり、身体的ケアで手一杯。心理的ケアはデイサービスにまかせる。問いかけが記憶障害にふれると視線が不安定になり不安そうなのでかわす"と高齢者を不安にさせない手がかりを得ていた。一方、3名は“すまない"という言葉を“介護者(嫁)を他人と思っているから。かわいそう"と捉えたり、見当識障害について“生地と共通した光景があるからだろう"等のように正常な心理認知機能による言動や感情として理解していた。
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