研究概要 |
本研究は、国際保健活動における異文化適応過程を明らかにすることを目的にしている。定性情報から把握するため、文献をもとに仮設的に異文化適応過程のモデルを構築した。引き続き半構成的面接項目を検討を行った。結果、異文化適応過程のモデルは、稲村(1980)の海外適応の時間的経過から活動前,現地到着直後,活動時期,活動終了直後,帰国後の5つの時期に関して、対象者が自由な表現で回答できるようにした。また、星野(1986)のカルチャーショックの諸要因である個人的要因,職場環境,生活環境,組織環境を関連要因に位置づけた。本年度は、予備的調査として国際保健医療活動の経験者3名に実施した。現在、モデルの再検討を行っている。 次に、面接調査で得られた定性情報をKJ法で処理-統合するにあたりKJ法の基本的技法を川喜田研究所において実践しスーパーバイズをうけた。基本的技法の習得に時間をかけた理由は、看護の基礎教育や現任教育の場でKJ法を活用しているが、「狭義のKJ法を安易に使用している」(川喜多)ために分析の客観性が疑われているからである。KJ法は一つの研究方法論として、技法のみならずその思想を基盤に持つことから実践を通して基本的技法の可能性と限界を理解および習得することにした。実践をとおして確認された事は、一般的に使わているKJ法はかなり容易に省略されたこと、また、定性情報とはいえ、素データの数量的価値もその質的価値と関連するという事である。
|