本研究の本年度の目的は、これまで用いたの面接調査表の再検討と調査したデータの分析である。ここでは面接データの分析を行った結果を中心に報告する。 面接は5年以内に青年海外協力隊で国際保健医療活動を経験し日本に帰国した看護職11名を対象に半構成的枠組みを用いて面接調査を実施した。平均年齢は28.5歳で看護職としての経験はおよそ7年であった。この活動への参加動機は、「海外救援活動や国際協力への興味」というだけでなく対象の年齢に関連して「海外で看護活動をしたい」「国内活動への停滞感」「自己の能力開発」など、個人の成長を期待して参加していたという実態がみられた。また、ほとんど全員がそれまでの施設を退職するという形で参加していた。結果、海外青年協力隊として国際保健医療活動における異文化適応過程は、これまでの調査の結果と同様に、出発前の準備期間から帰国後のまでの期間に7段階の過程を経ていることが明らかになった。その中で、海外青年協力隊の異文化適応過程の特徴として考えられることは、対象者が同国に派遣されている日本人同士で連絡や相談をしながら適応にむけての非公式な形での自助努力をしていたこと。公式には、日本人コーディネーターが定期的に連絡・調整(カウンセリングを含む)するサポートシステムが確立しており、有効活用されており適応の促進システムとなっていたことであった。しかし、、ほぼ全員が退職という形で参加していたことで、帰国後の活動に関した不安や悩みがあり、逆適応にあたっての阻害要因となっていることが分かった。この結果は、平成11年9月に東京広尾で行われた第8回国際看護研究会で発表した。
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