研究課題/領域番号 |
10877406
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研究機関 | 聖路加看護大学 |
研究代表者 |
錦戸 典子 聖路加看護大学, 看護学部, 助教授 (10172644)
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研究分担者 |
小林 敏生 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20251069)
影山 隆之 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教授 (90204346)
川越 博美 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (50297066)
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キーワード | 勤労者 / 家族 / 生活リズム / ストレス / 生活満足度 |
研究概要 |
本年度は、某出版社の勤労者約500名とその配偶者を対象に、昨年度実施した生活リズムやストレス状況等に関する質問紙調査結果について、生活満足度や家族間の相互影響を中心にその関連因子について詳しく分析するとともに、保健婦へのインタビューも行い今後の有効な支援について考察した。 職業生活満足度に関しては、職業性ストレス尺度のうち達成感があるほど高く、質的負荷および対人関係のトラブルがあるほど低いという関連が認められた。私生活の満足度に関しては、仕事の質的負荷があるほど低く、上司・同僚の支援があるほど高かったほか、婚姻状況(未婚者や離別者は、既婚者より満足度が低い)や、年齢(20代と40代では、30代より満足度が高い)が有意に関連していた。勤労者の公私両面の生活満足度に、職業性ストレスが大きく関与している可能性が示唆された。 勤労者本人の仕事の繁忙度や職業性ストレスの状況等と、配偶者の心身の健康状態との関連を、偏相関分析により検討したところ、休日出勤の回数が多いほど配偶者の心の状態が不調になり、また、抑うつ度を示すCESDの値の上昇が認められた。職業性ストレス尺度の中では、社員本人の仕事の裁量度が低いほど、配偶者の私的生活の満足度が低くなる傾向が認められた。仕事の繁忙度や職業性ストレスが勤労者本人だけでなく、配偶者の健康状態にも影響する可能性が示唆されたと言える。また、配偶者が共働きの場合には、配偶者が無職の場合と比べて、勤労者本人の平日の睡眠時間が短くなり、また、本人と配偶者間の心身の健康状態の間に有意な関連が認められた。 これらの結果から、今後は職域および地域の保健活動において、勤労者とその家族の密接な相互関係を常に視野に入れながら、健康支援を行っていく必要性が示された。
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