研究課題/領域番号 |
10877410
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 喜根子 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90261536)
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研究分担者 |
堀川 悦夫 東北大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (10155004)
高林 俊文 東北大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30124598)
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キーワード | 妊婦・褥婦 / 運転 / 記憶力 / 視力 / 反応速度 / 児心音 / 胎動 / ゆらぎ |
研究概要 |
モータリゼーション化した現在、18歳以上の女性の40%以上が運転免許を保有し、この25年間に男性の1.9倍に比して女性は5.5倍と著明に増加している。この状況の中で、妊娠期や産褥期に運転する女性も多いことが予想された。公共の交通事情が悪い地域性ではなおさらである。初年度から徐々に調査研究の症例数を蓄積し、全体を分析した。 今回の調査研究では、地域的に移動のためには、自家用車を必要とする交通事情の場所が多いとの条件もあり、対象とした妊婦の95.4%が免許を保有し、そのうち72.3%が運転を継続していた。また運転を継続中にも50.3%が何らかの不安を抱えての運転であった。不安の内容は、胎児に関することと、自身に関することに大別できた。 自身に関することでは、研究の主旨を説明し賛同の得られた妊婦を対象に、運転適性に必要とされる視力、記憶力、反応時間め調査研究を行った。その結果、妊娠末期の記憶力の低下と産褥早期の速やかな回復を得た。視力もまた記憶力と同じ傾向を示した。また裸眼者と眼鏡やコンタクトレンズ使用者の矯正視力の平均は前者が0.69、後者が0.95であった。反応時間は反応の標準偏差に差が見られ、妊娠末期と産褥1日目・5日目に相関がなく、妊娠末期と産褥1ヶ月目に相関が見られたことから、妊娠が運転を実施することに何らかの影響を与えることが予測出来た。 一方前記の調査と同様、研究の主旨を説明し賛同の得られた妊婦を対象に、実際の運転走行調査を実施した。その結果胎児に関しては、運転中の心拍数基線は140〜150_<bpm>と大差はなかったが、一過性頻脈の回数が約2倍に増加した。同時に胎動の周期性が見られ、ゆらぎの分析によれば、運転中の車の振動は決して胎児にとって心地よいものではないことが示唆された。そして運転中の母体の血圧は、収縮期が10mmHg程度の上昇を示し、また子宮収縮回数も対象者の殆どが上昇する傾向にあった。
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