研究課題/領域番号 |
10878008
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
進藤 宗洋 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (30078539)
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研究分担者 |
山口 幸生 福岡大学, スポーツ科学部, 講師 (90230375)
山下 和彦 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10140766)
阿比留 正弘 福岡大学, 経済学部, 教授 (20175897)
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キーワード | 動物人間 / ニコニコペースの運動 / 行動変容 / 医療費削減 |
研究概要 |
ヒト、モノ、カネ、情報が無駄遣いされるのは、社会および社会構成員が理念や理想像を持ち得ぬからである。ニコニコペースの運動は、無駄遣いの最たるものである国民の生活習慣病を、予防し治療する方法として学術的に認められている。その運動とは、厚生省「健康づくりのための運動所要量」に示された、最大酵素摂取量のおよそ50%に相当する運動強度の運動を一日30分以上行うことである。本年度は、運動の実践を支援する社会システムを構築するために、「国家資源を無駄遣いしない社会システム」に関わる既存の理論を、運動生理学、経済学、運動心理学、運動哲学の各分野ごとに再検討を行った。 運動生理学的には、生活習慣はもとより劣悪な環境条件から引き起こされる小児喘息児や肺気腫患者に関する情報収集を行った結果、運動による「生活の質(QOL)」の改善の可能性が示唆された。また、過去と現在とで生活の場における自然環境に変化が少ない山間部を調査した結果、親世代と子ども世代とでは全身持久力の低下が認められ、それは遠距離通学者の通学時に車での送迎があったり、テレビゲームなどの普及による児童期の身体活動量の減少に起因していることが考えられた。 運動哲学的には、一般市民を対象としたアンケート法による調査の結果、スポーツを通した共存や共生社会に対するニーズや、それを支援するためのネットワークの必要性が明らかとなった。運動心理学的には、運動の必要性と健康づくりのために、行動変容技法を用いた目標設定や行動の原則等を学習することが、運動行動の継続や身体活動量の維持に有効である可能性が示唆された。経済学的には、専門家の管理下における軽強度の運動の継続は、医療費の低減に寄与する可能性が示唆された。以上の結果から、健康への市民の関心は非常に高く、分野ごとの垣根を取り除いた「国家資源の無駄遣いをしない社会システム」構築の必要性が明らかとなった。
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