今年度は、主として住宅の空気環境の実測調査および生ごみ臭発生実験を行った。 家庭から排出される生ごみは、台所又はベランダに貯留され、ごみ収集日に排出する方法がとられ、生ごみを貯留している間に生ごみ袋や生ごみ容器から臭気が漏出している。住宅の空気環境の実測調査では、その生ごみ臭について、実際の住宅における臭気濃度、ニオイセンサー値、炭酸ガス濃度などの空気環境要素を測定し、住宅の空気環境の実態を検討した。その結果、生ごみ臭の発生状況を把握するには臭気強度評価およびニオイセンサー値が有効である ことが示された。次に、住宅における臭気感覚とニオイセンサー値の経時変動をみると、生ごみ容器の蓋の開閉時や生ごみの排出時にレベルが高くなり、生ごみ容器の蓋を開けた時の生ごみ臭の値は貯留日数が長くなる程増加する傾向が認められた。また、許容レベルをニオイセンサー値から検討し、これを超える時間をみると、台所で生ごみを貯留する日数や容器の開閉状態・密閉性が関係していた。さらに、臭気成分の分析では、臭気濃度に影響する物質はメチルメルカプタンであることを明らかにした。 生ごみ臭発生実験では、生ごみ容器が入る大きさのアクリル製の箱に生ごみ容器を入れて臭気発生量を測定し、漏出臭気、蓋の開口時に拡散する臭気の発生特性を検討した。その結果、漏出臭気は生ごみ収納袋の違いや生ごみ容器により異なり、水分を吸収し易い素材程、密閉性が悪い容器程多くなり、容器開口時の拡散臭気は漏出臭気の約430倍となった。また、臭気濃度に影響する物質はメチルメルカプタであり、生ごみ臭の許容レベルはメチルメルカプタンを指標とすると0.0003ppmとなることを明らかにした。
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