理科実験における誤概念克服を支援するため、子供達に「実験ポートフォリオ」を作成させ、それをマルチメディア共有データベースを用い、複数のクラスにまたがる大勢の子供どうしの間で交換・共有・相互評価させる活動を考えた。実験ポートフォリオとは、子供達一人一人が実験の予想や考察の局面で、考えたこと、感じたことなどを自由に書き留め、それらを集めたものである。本研究では、このアイデアに基づく実験指導法のモデル指導案の開発を目指した。 平成10年度は、以下のことを行った。 1. 指導案の作成 小学校高学年で、誤概念が問題となりやすい力に関する単元を取り上げた。そして、実験に関する指導案を、授業者となる教師達と協力して作成した。 2. 研究授業の実施 研究授業は三つの研究協力校で行なった。 3. 評 価 誤概念の除去と科学的知識の獲得にどれだけ成功したかという認知的領域での評価に加え、科学的探究に伴う喜びや興奮がどれだけあったかという情意的領域での評価も併せて行なった。 現在は、これらの結果を、今まで筆者らが蓄積してきた色々な指導方略に基づく授業の結果と比較し、期待どおりの成果があったか、また問題があるとしたらどのような点か検討し、力の単元の指導案を改訂している段階である。
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