本年度は、地域の情報化を考えるにあたって、高齢者や女性に注目した調査を実施した。その背景には、地域の情報化を推進しているいくつかの事例調査から、今後、推進の大きなネックとなるのは、地域内での情報格差であろうと予測されたことにある。特に、情報弱者といわれる高齢者にとっては重要な課題である。人口の1/4が65歳以上の高齢者をかかえる山田村において、高齢者が情報機器を自ら利用することは、医療・福祉などの分野でも非常に重要になってくる。地域住民全体の情報リテラシーをあげるには、その地域社会を意識した体系だった教育が必要であり、学校教育のような講師と生徒という単方向の教授方法では解決できない。 そうした考えに基づき、山田村において、65歳以上の高齢者を対象に「やさしいパソコン教室」を実施することになった。この教室はパソコンを利用しながら情報リテラシーを身につけることを目的とする。特徴は、高齢者のサポートに同じ地域の女性たちの手助けを借りることで、ほぼマンツーマンの支援体制を作り上げたことにある。本年度は2年にわたる教室で繰り広げられた高齢者と支援する女性達の様子やインタビュ一、アンケートなどから、高齢者支援のあり方を検討した。この際の考察は、カナダでも報告し海外での様々な視点から討議する機会を得た。 次年度は、本研究の最終年度であるため、山田村の情報化を評価する計画である。
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