本研究の初年度である平成10年度は、ネットワーク上のコミュニケーションと現実のコミュニケーションが調和した山田村メーリングリストを分析することで、情報化の初期段階における現状と問題点を整理した。また2年目となる平成11年度は、情報機器を利用する場合の高齢者への支援の立場から、支援される側だけではなく支援する側が受ける良い影響についてまとめた。 本研究の主な調査実施地である富山県婦負郡山田村は、情報化モデル地区に指定されて平成13年1月で丁度5年が経過したこともあり、本年度は以上のような調査を踏まえ、情報化の評価を試みた。また、これまでの研究の中で特に重要性が明らかになった「人的資源」について、その果たす役割と効果についてまとめた。 山田村の情報化がうまく進んだ要因の主なものとして、1)村に来た外部の支援者たちの力をうまく吸収することができた。2)村の昔からの集落単位の共同体の制度を生かした推進の方法をとった。3)村民と外部の支援者の支援の連鎖を作り上げるしかけ(努力)が継続された。4)こうした人的つながりは、社会的に疎外されがちな地域構成員(高齢者、障害者)への支援にも有効に作用している。などがあげられる。 また、地域情報化の支援活動を学生とともに実施した成果から、相互支援を基盤にした教育を、地域での生涯教育のみならず大学の情報処理教育へ取り入れる場合についても考察した。
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