研究概要 |
本研究では、第1に「隠れたカリキュラム」概念について理論的な視点からその概念構造について明らかにした。それを基に、第2に、大学生を対象として小学校低学年時における"印象に残る授業"について描画法によりスケッチを描かせ、その分析を試みた。その結果、生活科を体験していない学生でも、その多くが"生活科的な授業"を最も印象に残る授業としてスケッチに描いていることが判明した。すなわち、教師の教授意図の有無に関わらず、子どもは"生活科的要素"を当時の教科授業から学びとっていたといえる。 第3は、小学校時代に実際に生活科を体験した中学生を対象として、彼らが生活科に対してどのようなスタンスをとり、またどのような教科イメージを学びとっているのかについて探った。その結果、生活科に対する二つの視点、すなわち「有用度」と「満足度」の二つ尺度から、子ども達の生活科に対するスタンスは、大きく三つのグループ、すなわち「受容群」「非受容群」「容認群」に分類され、「受容群」ほど生活科に対して肯定的イメージを抱いている生徒が多く、逆に「非受容群」ほど生活科に対して否定的イメージを抱いていることが判明した。さらに、「総合的学習」へのスタンスに対しても、生活科に肯定的な生徒ほどその受容度は高く、否定的な生徒ほど低かった。つまり、生活科の学習を通して「総合的学習」へのスタンスも併せて学びとっているといえる。 第4は、生活科を体験している小学生の保護者約3,000名を対象として、保護者が生活科をどのように評価し、教育課程上の位置についてどのように考えているのかについて、彼らの"子育て観"別に、その意識の差異について探った。その結果、彼らの多くは生活科を特別視することなく、3学年以降でも学ばせてほしいと考えていることが分かった。
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