研究概要 |
本研究は、アカデミックススタイル(教授スタイルや学習スタイル)に関する異文化間の比較を、日本とオーストラリアで収集されたデータをもとに分析する実証研究として計画されたものである。アカデミック・スタイルのデータ収集のために、日豪で同じようなデザインを設定した。日本では、千葉大学及び立教大学に留学している、モナシュ大学とオーストラリア国立大学出身の6名の学生から、ある学期科目を履修するために、クラス内外でどのような活動を行っているかについて、2、3週間に一度インタビューを行った。一方、オーストラリアでは、モナシュ大学日本研究科に在籍する2人の日本人大学院生の協力を得て、日本と同じようなインタビューを行い、また、その比較のために、オーストラリア人の大学院生にも、同じ内容のインタビューを行った。なお、このデータ収集は、同研究科に所属する教員の協力を得て収集された。 これまで、収集されたデータを基にして、これまで中間報告を含む成果の報告を行ってきた。一つは、オーストラリア側のデータをまとめた論文で、「留学生のマクロ学習ストラテジー」(マリオット,H 宮崎里司翻訳)『日本語教育と学習ストラテジー』(くろしお出版)で、日本人留学生を中心に、日本とオーストラリアの大学のアカデミックスタイル(教授スタイルや学習スタイル)に関する異文化間の比較とその問題分析を行ったものである。もう一つは、同様な内容を学会発表("Japanese students and their cultures of learning"(The 1999 National Language and Academic Skills Conference,モナシュ大学 平成11年11月26日)を、前述の共同研究者と行った。 今回のこれまでのデータ分析によって明らかになったのは、日本人留学生、オーストラリア人留学生共々、第二言語である英語及び日本語の習得だけではなく、異なるアカデミックスタイルの適応する過程で、問題を感じていることが明らかになった。今後は、このアカデミックスタイルの問題も、日本語教育のシラバスの中に取り入れる必要性がある。同時に、留学前に行う、システムマティックな出発前教育を望む被験者が多かった。 これからの作業として、アカデミック・スタイルの適応及び不適応について、日豪のデータをさらに比較検討し、国内、海外の学会誌に発表していく予定である。
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