研究概要 |
昨年度に構築した研究室内のLANを使用して暗号応用技術の運用を試みた。すなわちPGPや使い捨てパスワードシステムを大学院生とともに実際に使用してどのような問題が起こるかを調べた。すぐにわかることはどんなに数学的な裏付けのある優れた暗号ソフトもその原理を良く理解し,細心の注意を払って使わなければかえって逆効果になるということである。 こうして暗号研究の動機をはっきりさせた上で昨年度に引き続きブロック暗号の鍵の持つ群論的特徴について,上記の研究室Linux serverにインストールされたGAPを使用しながら調べた。有限群Gの部分集合Uが条件 (i)集合UUと集合Uとの共通部分が空集合,または (ii)集合UUUと集合Uとの共通部分が空集合 を満足するときこのUはブロック暗号の鍵の集合の候補と考えられているが実際にどうこのようなUを構成すれば良いか,構成法の一つを群論的に示すことができた。それをもっとも簡略な形にして述べれば以下のようになる。 1.Gの適当な部分群Hを構成する。 2.HのGにおける正規化群Nを構成する。 3.剰余群N/Hにおいて位数が3以上の元nH(n∈N)を見つけ,その剰余類nHをUとおく。
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