研究概要 |
本年度は,Kolmogorovの複雑さの定義において語の長さ|w|を数列P=(p_0,p_1...)を用いて一般化した値|w|pで置き換えて得られる量が再びKolmogorovの複雑さに一致しているか,という問題に集中して研究を行った。このような置き換えのもとで再びKolmogorovの複雑さが得られる場合,この数列PはKolmogorovの複雑さに対し有用である,ということにする。 どのようなPがKolmogorovの複雑さに対し有用であるかについては,すでにlim inf_n→∞p_n>0ならPは有用,p_n=0(1/2^n)なら有用でない,という結果を得ており,この2つの結果の隔たりを縮めることが目標である。これに関しては,lim sup_<n→∞>p_n>0であることがPが有用であるための必要十分条件である,という予想を持っていたが,これが十分条件でないことを示すことができた(A.Shen氏との共同研究)。 この結果の証明を詳細に検討することにより,Σ_<n【greater than or equal】0>p_n<∞であることがPがKolomogorovの複雑さに対して有用であるための必要十分条件であると考えられ,現在そのことの証明に取り組んでいる。そして,ある極めて限定された場合についてではあるが,そのことが成り立つことを示すことができた また同様の問題は,万能確率分布の定義とShannonの符号化定理に対しても考えることができ,これら3つの問題の間の関係を明らかにすることも,それ自体重要な問題である。現在,上記の結果が万能関数の定義,Shannonの符号化定理についても成り立つかということにつりでも,検討を行っている。
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