組織単位(具体的にはセンサ、モータ、バッテリ、アクチュエータなどを内蔵する5種類の部品)を構造化する情報を仮定し、その情報が交配と突然変異によって変化し、それぞれ機能をもつ多様な構造体を産み出すモデルを構築した。産み出される構造体の機能の多様性や複雑性が十分になるように、システム記述の方式を工夫し、多様で複雑なロボットが産み出されるシステムが構築できた。要点は普通のシステム記述では、交配したとき機能的な構造体は記述できず、何の機能も持たないものになり易い。そうならないシステム記述(ロバストなシステム記述と称する)は、生体が、アミノ酸の構成、蛋白質の構成、生体の構成という階層性をもつごとく、組織化に階層性をもたせることによって得られた。ここでは、バッテリ、ランプ、光電センサ、車輪付きモータ等を内蔵する組織単位を用いたが、これがいくつかつながった中間構造体から出発し、中間構造体を接続する構造情報について検討した。 ここに構築された「構造情報とその発現の機構」には自然に一般組織化に共通する原理が含まれており、遠い将来のことではあるが、生命現象を産み出す原理の解明への糸口となる知見がえられたとかんがえられる。この結果は国際学会にも発表した。
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