研究課題/領域番号 |
10878073
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
山田 弘司 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (20200735)
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研究分担者 |
坂本 隆一 核融合科学研究所, 助手 (10290917)
森崎 友宏 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (60280591)
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キーワード | 定常プラズマ / 密度限界 / エルゴディック層 / 中性粒子 / 核融合プラズマ / LHD |
研究概要 |
ヘリカル系プラズマは電流崩壊がないため、密度限界付近のプラズマの振る舞いについて精査に調べることができる最適な対象と言える。一方、ヘリカル系の周辺部は磁場構造がエルゴディックになっており、最外殻磁気面というように閉じ込め境界層を一意に決定することができない。このため、磁力線の乱雑さをコロモゴロフ長によって評価し、その変化と温度、密度勾配との関係を調べた。壁への連結長とこのコロモゴロフ長の大小関係が運動論的物理量の勾配を特徴づけている示唆が得られた。また、ガスパフの位置をセパラトリックスを介したプライベート領域および、セパラトリックス構造と交差しない非プライベート領域からのガスパフ実験で、後者の粒子補給効率が著しく劣化することが明らかとなった。これはスクレープオフ層の中性粒子の流れと上記の磁場構造と密度・温度の勾配、特に実空間上の勾配が大きな役割を果たしていることを示している。プラズマは磁場に拘束されるため、磁気面という物理空間での距離、勾配が問題となるが、中性粒子は磁場に拘束されないため、背景プラズマとの平均自由行程という実距離に支配されることとなる。これら2つの系が相関した興味深い研究対象であることが再認識された。密度限界には運転限界とその下に閉じ込め性能が劣化する性能限界があることを示してきたが、今年度、ガスパフの制御特性を向上し、高密度の長時間保持を試みたところ、この性能劣化の状態がほぼ定常的に保持されることがあきらかとなった。この状態はガスパフを切ると現状の閉じ込め性能に復することから不安定な負荷逆状態であると考えていたが、予想通りでなく、今後のさらに詳しく調べる必要がある。本研究を通じて得られた知見を動機として研究代表者が取りまとめを行った共同研究の成果がプラズマ・核融合学会誌、小特集「磁場閉じ込め装置での粒子補給システムの現状と課題」にまとめられた。
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