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1999 年度 実績報告書

イオン照射誘起発光を利用したセラミックスの照射損傷の研究

研究課題

研究課題/領域番号 10878075
研究機関名古屋大学

研究代表者

田辺 哲朗  名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (00029331)

研究分担者 吉田 朋子  名古屋大学, 工学研究科, 助手 (52041346)
武藤 俊介  名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (20209985)
キーワードセラミックス / ガラス / イオン照射 / 発光 / 照射損傷 / 酸素欠陥 / 電子励起効果 / 格子はじき出し
研究概要

本研究は、セラミックスやガラスに高エネルギー粒子を照射し、この時放出される光のその場分光および寿命測定によりセラミックスの照射損傷の動的過程を解明するだけでなく、今まで照射損傷に使われたこなかった各種の新しい分光法を応用して欠陥の化学状態を解明する事を目的とした。得られた成果をまとめると以下の通りである。
(1)水素あるいはヘリウムイオン照射下で、サファイア(Al_2O_3)およびシリカガラス(SiO_2)あるいはシリコンおよび黒鉛にイオンを照射しその揚発光分光を行った。その結果サファイアやシリカでは、照射により形成された酸素欠陥に捕獲された電子が、イオン照射による電子励起効果により励起された後、緩和される過程で発光が起こること、そしてその発光の強度は、イオン照射による欠陥生成により変化することを見いだした。また水素イオン注入が、場合によっては、ヘリウムイオン注入により大きな照射効果をもたらすことがあることが見いだされた。これは水素の持つ化学活性のため、照射によってもたらされた欠陥(ダングリングボンド)と水素とが結合し、欠陥の回復を押さえるためである。
(2)東京大学の研究用原子炉弥生を用いて、原子炉心におかれたセラミックス試料からのその場発光および光透過測定に世界で初めて成功した。測定の結果発光は主としてγ線による電子励起効果によっており、イオン照射の時と同様、原子炉内では中性子の照射による欠陥生成が発光強度を変化させることを見いだした。
(3)照射後試料については電子顕微鏡によりその微少組織観察を行うとともに、X線吸収分光や電子エネルギー損失分光など、従来欠陥の研究には使われてこなかった新しい各種分光法により試料内に生成された欠陥の同定を行い、黒鉛の損傷過程および生成される欠陥構造に対して新たなモデルを提案する事ができた。またシリコンでは、電子励起による欠陥生成の可能性があることもわかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] T.Yoshida: "XANES and XPS analyses of Silicon irradiated by deuterium ions"Japanese Journal of Applied Physics. 38 Suppl-38-1. 305-308 (1999)

  • [文献書誌] T.Yoshida: "XAFS study of silica glasses damaged by various radiation effects"Nuclear Instrument and methods,B. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] T.Yoshida: "In-reactor luminescence from silica glasses"Nuclear Instrument and methods,B. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] T.Ii: "Effect of OH content on in-reactor luminescence of silica glasses"Journal of Nuclear Moterials. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] T.Yoshida: "XAFS study on D^+ irradiated S:surface"Journal of Synohrotron Radiation. 6. 734-736 (1999)

  • [文献書誌] T.Tanabe: "Damaging process ot Graphite-A new model and its impact on degradation of materials performance"Physica Scripta. T81. 104-107 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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