多孔性炭化ケイ素(SiC)セラミックスをアセチルアセトナート鉄のアセトン溶液に浸漬し、これを焼成して細孔内表面にクリストバライト(SiO_2)結晶膜をつくった。この上に、酸化チタン(TiO_2)をチタンイソプロポキシドのアルコール溶液を含浸させ、これを加熱することにより担持した。この炉壁(であると同時に)触媒の四塩化炭素(CCl_4)分解活性の経時変化、分解反応中の細孔構造の変化(平均細孔径、表面積)及び基盤のSiCの耐酸化性などを調べた。CCl_4分解活性は800℃で200時間の反応ではほとんど失活せず、基盤のSiCの酸化劣化はほとんど認められず、また細孔構造もほとんど変化しないことが分かった。現在この試験時間を延長中である。 実際のゴミ焼却炉では加熱・冷却が繰り返される。クリストバライト結晶は300℃付近で体積変化を伴う相変化するが、通常この際クラックが生ずる。上記炉壁触媒を急冷したとき耐酸化性の低下が観測された。この事は、この炉壁触媒は高温連続運転のときのみ順調に作動することを示唆する。冷却時に相変化しないクリストバライト結晶(高温型)はCaとAIをSiO_2にドープすれば生成することが報告されている。我々はトリエタノールアミンにCaOとAl(OH)_3を溶解しSiCセラミックスに含浸しこれを焼成することにより細孔内表面に高温型クリストバライトを高収率で生成させた。現在、CCl_4の分解反応中、ドープされたCaがハロゲンとの反応で結晶中からCaCl_2になって細孔内に沈析したり、あるいは揮発して系外に離脱しないかどうか調査中である。
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