我々はCa^<2+>カルモデュリンに依存して機能するフォスファターゼ、カルシニューリンの結合蛋白質であるFK506結合蛋白質をテトラヒメナより発見した。FK506結合蛋白質は免疫抑制剤FK506と結合するとカルシニューリンの機能を阻害し、免疫担当細胞の働きを抑えることが知られている。テトラヒメナにもFK506結合蛋白質が存在することは、この蛋白質が普遍的な生理機能に関与することを示唆している。この普遍的な機能を明かにするためにテトラヒメナを用いてFK506結合蛋白質が関与する生理機能を明かにすることが本研究の目的である。 1. テトラヒメナのFK506結合蛋白質の遺伝子をクローニングし、FK506結合蛋白質のcDNAの全塩基配列を決定した。推定されたアミノ酸配列からテトラヒメナのFK506結合蛋白質は12kDaの分子量を持つFK506結合蛋白質(FKBP12)であることが明らかになった。 2. FKBP12はIP_3リセプターによる小胞体からのカルシウムイオンの放出をカルシニューリンとともに調節する。一方我々の研究室ではCa^<2+>/カルモデュリンが細胞質分裂を制御していることを明らかにした。そこで、テトラヒメナの同調分裂細胞をFK506で処理したところ細胞質分裂が阻害されることが明らかになった。 FK506結合蛋白質のテトラヒメナ内での機能を明らかにするため:(1)抗-FK506結合蛋白質抗体の作成、(2)FK506結合蛋白質に結合するカルシニューリンのような蛋白質の同定、などを計画した。現在その第一段階として大腸菌でリコンビナントFK506結合蛋白質の作成を行っている。
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